にオリンパスプラザ東京の「OLYMPUS PEN-F 先行展示」(Internet Archive)でOLYMPUS PEN-Fを触ってきました。
閉館間際へ行ったところ、平日なこともあってかちょうど誰も触っていませんでした。しばらくして二、三人来ました。
新しいオリンパスプラザ東京では普段椅子が置いてあるイベントスペースに展示台を三つ置き、それぞれに黒と銀のOLYMPUS PEN-Fが展示されていました。
一言で言うと「これはいい」です。
もちろん肝心の画質については、まだ公式の作例しか無いので判断出来ませんが。
非常に精悍でメカっぽい外見です。
オリンパスがサイトに載せている写真のボディーカラーが銀なことも関係しているのかもしれませんがこの黒の実物は写真のイメージと全く違い小さく、メカっぽい。
見た目も小さい感じですが持った感じも小さく、適度に密度がある感触。左手側のボディーはやや厚く、右手側のボディーは薄いです。
右手側が薄くて持ちづらくなるところを親指グリップが非常にいい感じでボディーを支えてくれます。
クリエイティブダイヤルは中のツマミ部分が周り、字が書いてあるところは動きません。
クリエイティブダイヤルの下にあるのはプレビューボタンでFnとして使用可能。初期設定は当然「プレビュー」です。スーパーコンパネの右下すみのFnボタンの設定内容が出ているエリアをダブルタップして選択状態にして「OK」ボタンを押すとFnボタン設定メニューへ一発で飛ぶびます。
軍艦部のダイヤル類の密集具合とローレット(ぎざぎざの加工)によってメカニカルな印象を与えてます。構えた際の指との位置関係は非常によいです。
シャッター音は小さめで小気味いい。
電源スイッチが左側に配置されるのが最近のオリンパスの傾向ですが、この結果シャッターレリーズボタンのある右手で掴んで顔まで持ってくる間に右手で電源を入れると言うことができなくなっているのはわたしはあまり好きではありません。ミラーレスはファインダーのために常時撮像センサーが動いているので電源をこまめに切ることになります。
PEN-Fでは電源スイッチがローレットのついた大きなダイヤルになったため左の指でこする形でオンオフできるのはなかなかいい感触です。
一方ボタン類はボディーが小さいためにやや押しづらい。「🔍(拡大)ボタン」やFn1(AEL)などが掌の内側にある感じです。しかしボディーが小さいのでしょうがないでしょう。
クリエイティブダイヤルをモノクロプロファイルにするとスーパーコンパネ(マニュアル p.50)の右中段(彩度、階調)が「粒状フィルム効果」(p.66)「調色」(p.67)に変わります。ピクチャーモードを「モノトーン」にした場合も変わります。
以前の機種でもピクチャーモードをモノトーンにした場合にここが変わっています。
新しくなった設定
マニュアルをみて気がついて展示機をいじってみた、設定上の新しい点を挙げます。
マイセットからカスタムモードに変わった
p.33、p.88。
マイセットの「設定の上書き」ではなくモードダイヤル C1〜C4 に合わせた時だけその設定になります。呼び出すに近い感覚です。これにともないメニューにはマイセットを呼び出す機能に相当するものがなくなり各カスタムモードへの登録のみとなりました。
撮影モード(PASM)も憶えるので登録の際にモードダイヤルも希望のものにしておくことが必要です。
S優先ならシャッタースピード、A優先なら絞りも憶えるようです。当然これらはダイヤル操作で変更出来ますので実害はないと思います。よく使う値にセット(絞り開放とか、高速シャッター1/1000秒とか)にしておくことで呼出し後の操作をさらに減らすことも出来るでしょう。
マニュアルには撮影モードと優先パラメーター(シャッタースピードとか絞りとか)も憶えることが載っていません。登録画面では撮影モードも憶えることが表示されます。マニュアルに記載がないのはE-M1の時からです。
上書きの仕様をなくして呼び出しの仕様に切り替えたのは、買い足し/買い替えユーザーに混乱を起こす気がしますのでかなり大きな決断な気がします。どちらの方式もよい点があるのでカスタムモード方式の採用自体に異論はありません。
私はマイセットを設定のリセット目的で使って重宝しています。カスタムモードではそれができません。一方でカスタムモードでは撮影モードも覚えていて、モードダイヤルの操作だけですぐ復帰出来るなど、カスタムモードも大変便利に思っています(パナソニックがこの方式)。
リセットに「標準」と「フル」がありますが、新たにカスタムモード4(とか)の設定値に設定されるというモードを追加してはどうでしょうか?(パナソニックも)
スポット測光の測光エリアがAFターゲットについていくように設定できる
p.109。
三種のスポット測光それぞれ(スポット測光、スポット測光ハイライト、スポット測光シャドウ)に設定ができます。
デジタルらしい機能だと思いますし、測距点(AFターゲット)は自由に配置できるのに測光点が中央固定のため「カメラを振ってAEL、そして戻す」を使わざるを得ないという不釣り合いが解消され大歓迎の仕様変更(仕様追加)です。
「[…]連動スポット測光」をオンにすると測光エリアを示していた中央の◯が消えてなくなります。以前からの仕様である非連動の場合デジタルESP測光、中央重点測光、スポット測光で測光エリアの表示が違っています。「連動」させるとスポット測光とデジタルESP測光はエリアの表示がなくて区別ができなくなります。
「連動」でのスポット測光でもAFターゲット内に◯を描いて欲しいです。(パナソニック機では「+」マークがスポット測光エリアを示していてAFターゲット内に表示されます。)
三種のスポット測光それぞれに連動の設定ができますが開発/テストコストとバグの危険性が増えるだけです。一括の設定で一部だけAELを絡めて使えば使っていけるはずです(スポット測光ハイライトだけ連動で、あるいはその逆というような人は)。
(このように過去の仕様との選択制にする方針が強固に一貫しているのに比べると、マイセットをなくしてカスタムモードに変更したことは異例中の異例です。文系なコラムニストなら「物語」を書きたがるような決定過程があったに違いないと想像させてしまいます。)
フラッシュ補正機能を露出補正ダイヤルに割り当てられる
p.105、p.45。
フラッシュの調光補正機能をEV補正ダイヤルに割り当てることが出来ます。
直感的でよいアイデアで、今までフラッシュを使っていて感じていた調光補正のまどろっこさが解消されています。
しかしフラッシュが挿さっていない場合もフラッシュ補正のままです。操作しても画面上には何も警告が出ないため露出補正ができない(ダイヤルが効かない)と錯覚することがありました。フラッシュが無いときはfallbackして露出補正ダイヤルに戻る仕様に出来なかったのかなと思います。
一方前後ダイヤルの機能設定に露出補正を割り当てることが出来るのですが、設定可能な項目のメニューの中で「露出補正」が出てくるのは露出補正ダイヤルをフラッシュ補正機能に設定した時だけです。私は気づきませんでした。
マニュアルは具体的に何に設定出来るかまでを記載しない方針で書かれているため、このような条件付きで項目が出たり消えたりすると、ユーザーが存在に気がつかない落とし穴があります。この件についていうとマニュアルに設定が可能なことを匂わせる記述はあります(p.105「ダイヤル機能」)。
グレーアウトして項目に出す、など何か工夫があればなと思います。
追記 2016.02.04.
フラッシュ補正を前後ダイヤルに設定することができるらしいです。気づきませんでした。
Fnキー設定項目の中に「露出補正」というものがあります。これをFnキーにアサインしてFnキーを押すと、ダイヤルと左右キーが露出補正、上下キーが優先パラメーター変更(シャッタースピードとか絞りとか)になります。私はこの「上下キーと左右キーに割り当てる」は好まないです、前後キーに振り分けてあることが好きです。しかしオリンパスはこの考え方で一貫しています。
この一連の仕様は私はこうだったらよかったのではないか、と思います:
- 露出補正ダイヤルをフラッシュ補正機能に割り当てた場合、露出補正ダイヤルはフラッシュが挿さっていないと露出補正ダイヤルのまま
- Fnの機能に「露出補正ダイヤルをフラッシュ補正機能にする(オンオフ トグル)」を作る。これをFnにアサインして露出補正ダイヤルをフラッシュ補正にしたり露出補正ダイヤルに戻したりする。Fn機能「露出補正ダイヤルにする」はとくに要らない
(マイセットがあった場合は露出補正ダイヤルをフラッシュ補正にしたマイセットと、そうでないマイセット(標準的設定のマイセットでよい)を作ることで簡単に行き来が出来たことでもある程度対応が出来ることもあったと思います。)
Mモードで露出補正が露出補正ダイヤルでできる
p.29。
MモードでISO感度をautoに設定すると露出補正ダイヤルで露出補正ができます。
撮影結果は(当然)露出補正されたぶん露出オーバー、アンダーになりました。
「露出補正バー」の表示が「補正値を加味した露出設定値との差」になるとマニュアルに書かれていますが、私はこの意味がわかりません。それは写真の理論を理解していない私だけの問題でしょう。私は露出補正ダイヤルを操作するとここにバーが出ると思っているのですが、全く動きません、±0のところでじっとしています。このバーが動くのはシャッタースピード、絞り、ISO感度の組み合わせが適正露出から外れた時です。ISO感度はautoにしているのでこの状態を実現するにはISO感度の上限下限設定を超えるほどにシャッタースピードや絞りを設定した時になります。
露出補正値はダイヤル操作にともなった数字が出ます。
深度合成はできない
デジタルシフト(p.97)、フォーカスブラケット(p.94)はあります。
ピーキングを設定してもフレームレートを高速に設定できる
p.75、p.104、p.115。p.107。
いわゆるフォーカスピーキング機能と、EVF、背面モニターのフレームレートの設定です。以前の機種ではマニュアルに記載のない隠れた制限でした。
以前の機種ではFnキーにピーキングを設定するか、MFアシストにピーキングをオンすると、「フレームレート」がグレーアウトし設定出来なくなりました。また先に「フレームレート」を高速に設定してからピーキングの設定を行うと「フレームレート」がグレーアウトし設定内容が「標準」に変わっていました。
フレームレートが「標準」になってしまうことで差がわかるかというと必ずしもわからないことも多いようですが、それよりなにより:
- 「フレームレート」を高速に設定出来るんだって?と探してもどーやっても見つからない、けどあの人は「出来るよ〜」と言っている
- 「フレームレート」を高速に設定したはずなのに(モニターにアイコンが出る)、知らないうちに標準になっている(アイコンが消えてる)
という怪現象に悩まされなくて済みます。メニューがグレーアウトしていると意外と「見えない」ものだなあというのも実感する隠れ制限でした。
AFターゲットパッド(新機能に非ず)
p.105。
直前の機種である E-M10 Mark II から入った機能です。EVFを覗いている時だけ背面モニターを指でなぞってAFターゲットを自由に動かせます。
反応の切れがたいへんよい。使いやすいです。
ダブルタップでオンオフできるのは鼻で誤動作することが減らせるのでよいアイデアです。パナソニックのタッチパッドAFもこのアイデアをいただいてほしいです。
ちなみにタッチバッドが鼻で誤動作するは、バリアングルモニターを横へ展開して左手で操作すれば鼻とぶつからないという使いこなしもあるとオリンパスプラザの方に教えてもらいました。
スーパーコンパネの項目を選択するのもダブルタップですが、オリンパスはこのダブルタップを判定するための時間間隔がかなり短いように思います。速く連打しないといけない。これは…若い人が設計しているのかな?と思います(それの合否判定に高齢の方が加わってない)。高齢になってくると連打の速度が遅くなる(というか速さをいつでも、精密にコントロールできるわけではなくなってくる)のですがカメラは高齢者のユーザーが多いように思うのですが…
設定でダブルタップの速度を二段階くらいに選べるのがよいと思っています。しかしたとえばiOSにもそのような設定はみあたりません。一方マウスを使うMacやWindowsでは昔からダブルクリックの速度の設定はあります。
あとは実際の画質をみるのみです。新センサーに変わっていてピクセル数も増えていますのでどんな向上があるか期待したいところです。
メカ的には今までのPENのなんとなく「やわらかい」感じとは違い、結構ハード、けどコンパクトと言う印象です。ハードな感じを避けたければ銀のボディーではそこが和らいでいると思います。
UI的にも「露出補正ダイヤル」「カスタムモード」「[…]連動スポット測光」など、なかなか仕様を変えないカメラ業界の中で今回はずいぶんと大きな、たくさんの新仕様を入れてきています。新しい仕様ゆえに完成度のでこぼこもありますがこれらの変更の決断は高く評価します。
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