先日紹介した、ExifChanger(Mac App Storeではここ)がバージョン4.0になりました。漢字が入らないバグとかpaste出来ないとかが治っていますし、機能も強化されました。
そこで今日は基本的な使い方を書いてみます。m4/3ユーザーとしては、オールドレンズや一部レンズ(コシナ VoigtländerのNOKTONやSamyangのレンズ、あるいはケンコー・トキナーのTマウントのミラーレンズ)を付けた時に入らないEXIFを入れたいので、それを想定して書きます。
ExifChangerはJPEGだけでなく、TIFFやRAWファイルにも対応しています。ですのでJPEGとRAWファイルをまとめて変更できます。
ExifChangerで目的の画像ファイルのフォルダーを開く
まず、ExifChangerで変更したいファイルのあるフォルダーを開きます。SDカードの中を直接開くのは避けたほうが無難ではないでしょうか。SDカードのデータはマスターなのですし、ExifChangerは変更をするとバックアップファイルを作るのでSDカードに空きが少ないと空き容量0エラーになってしまいます。ですのでまず、SDカードの写真を全部Macへ吸い出してしまいます。私の場合はApertureです。
Apertureでは、Libraryと呼ぶ一本のファイルに写真が格納されます。LibraryはPackage形式なのでFinderでは一本のファイルに見えますが、実際はフォルダーです。ExifChangerの左端のファイルリストでたどっていくと、例えばLibraryファイルにphotoというファイル名をつけていたらphoto.aplibraryというフォルダーがそれです。 また外部HDDを使っている場合、外部HDDは一番てっぺんの / の直下になるVolumesフォルダーの中にあります。ここらへん、ファイル選択ダイアログがunixのファイル形式になっていて一般の人にはわかりづらい部分です。
ExifChangerはDrag&Dropでもフォルダーを開くので、直接フォルダーをメイン画面のどこかへDrag&Dropしても開いてくれます。
ApertureのLibraryファイル(Package形式)をFinderで直接開いて画像ファイルのありかを探す場合は、マウス右クリックでコンテキスト・メニューを出して、そこからPackageを開きます。こうすると中が普通のフォルダーとファイルの形式で覗けますので、こうやってからDrag&Dropでもいいでしょう。
インポートされた画像ファイルはLibraryファイル(実はPackage)内のMastersというフォルダーにあります。Mastersフォルダーにはインポートした時の西暦でフォルダーができています。そこを開くと次にインポートした時の月(数字)でフォルダーができています。さらにそこを開くとインポートした日付でフォルダーができています。そこまで開くと最後はインポートした年月日と時分秒でフォルダーができています。
例えば、2013年3月5日22時10分50秒にインポートしたら
"Masters" → "2013" → "03" → "05" → "20130305-221050"
というフォルダーに写真が入っています。ここをExifChangerで開きます。
このあとExifChangerでEXIFを変更しますが、変更が終わったら必ずApertureの写真ブラウザーの中で変更した写真全部を選択しメニューの Metadata → Update from Original (あるいは右クリックして、コンテキスト・メニューから)してください。これをしないとAperture側に変更が反映されません。InspectorやInspector HUDのInfoに変更後のデータが出てきません。このUpdate from Originalを忘れるとExifChangerで書き込んだデータがAperture側で一向に見えなくて「おかしい、変更されない」となりますので忘れないようにしてください。このUpdate from OriginalはExifChangerによるマスターファイルの変更をApertureに読み込ませるのが目的なので、ExifChangerで変更するたびにやる必要はありません。最後にまとめて一回Update from Originalをやればよいです。
ExifChangerでタグの値を変更する
目的の写真が入っているフォルダーを開くと、ExifChangerの真ん中の列に写真のサムネイルが表示されます。この中から変更したいファイルを選択します。複数選択も可能です。
右の列にEXIFのタグ名と値(内容)が出てきます。この右の列の画面で、入れたいタグや変えたいタグの変更をします。値(文字列)を入力するには
- 値の字をダブルクリックしてその場で入力
- 右端の鉛筆をクリックして"Edit Field"ダイアログを出してその中に文字入力 → "Set"ボタンを押してダイアログを閉じる
で行います。入れられる文字は基本的にはASCII文字列になります(EXIFの定義より)。Captionなど一部だけ漢字(日本語)が入ります。この場合Unicodeで入ります。
何を入力したらよいか
オールドレンズなどで、EXIF用のデータがわかっていて、かつ、入れると便利だろうと思うのは:
- Exif.FNumber
- 撮影時の絞り値
- Exif.FocalLength
- 焦点距離(mm)
- Exif.FocalLenIn35mmFilm
- 35 mm換算焦点距離(mm)
- Exif.MaxApertureValue
- 開放絞り値
- ExifAux.LensInfo
- 最短焦点距離、最長焦点距離、最短焦点距離の開放絞り値、最長焦点距離の開放絞り値
(4つの値を半角カンマか空白で区切って並べる) - ExifAux.LensModel
- レンズ製品名
です。
焦点距離は、単焦点レンズの場合ははっきりしていますが、ズームの場合は鏡筒の目盛から読み取って一枚一枚メモでもしていない限りわからないと思います。 撮影時の絞りも同様で、一枚一枚メモをするか、どういうパターンで設定するかを決めてあるかしないとわからないでしょう。 35mm換算焦点距離は、記入しなくてもそんなに困らないでしょう。
LensInfoは、焦点距離と開放絞り値を二組指定しますが、これはズームレンズを想定しています。ズームのワイド端とテレ端での「焦点距離と開放絞り値」を入れます。単焦点レンズの場合は、最短と最長に同じ数値をいれます。 例えばズームレンズで45-200 mm F4.0-5.6の場合「45, 200, 4.0, 5.6」と入力します。また50 mm F1.4の単焦点レンズの場合だと「50, 50, 1.4, 1.4」と入力します。
LensModelは、レンズの製品名を入れます。ここを今のレンズ(とカメラボディー)がどのように入れているかちょっとFlickrに上がっている写真で調べてみたのですが、キヤノン、ニコンではレンズのメーカー名が入りません。これはタムロンのレンズを使っていてもそうです。
一方オリンパスのレンズはOLYMPUSの文字と製品名が入ります。パナソニックのレンズはLUMIXと入ります。
キヤノンやニコンの現在のボディーでは自社製品しか装着しない(装着できない)のが常識ですからわざわざLensModelにCanonとかNikonという字を入れる必要がないともいえます。とはいえタムロンやシグマのレンズが挿さる可能性はあるわけで、少々わかりづらい。 EXIFにはLensMakeというタグもあるのですが、Apertureでは表示できませんし、ExifChangerでも出て来ません。 今回はオールドレンズをマウントアダプターで装着するケースですので、色々なメーカーのレンズが装着されます。 このような理由から、LensModelにはメーカー名を含めたレンズの製品名をいれるのがよいと思います。
例えば
- Canon New FD50mm f/1.4
LensModelに入れる製品名はメーカー名+正式名称で
ところで、本来ここにどんな風に入れるかは、メーカーの公式見解があるわけではありません(EXIFが無い時代の製品だから)。製品名ですから、メーカーがカタログに書いている製品の正式名称を入れるのが最も無難です。 ここはASCIIしか入れられない規約の欄なので、英語の製品名がわかれば最も無難です。すでに生産終了になっているレンズですが、多くのメーカーがホームページにカタログを載せています。
ミノルタは、会社がなくなってしまったうえにソニーが全然ミノルタ時代の情報を引き継いでいません。最近になって、旧コニカミノルタ製品のサポートを引き継いだケンコー・トキナーにAマウント製品のカタログ情報が少し出てきた状況です。 ましてMDマウントのカタログはありません。どこか海外のマニアできっちりと正式名称を記述しているファンサイトを作っていないでしょうか。
オリンパスも、OMレンズのマウントアダプターを公式に出しているわりにはOMレンズのカタログ情報がちゃんとそろっていません。OM以前のPEN Fなどのカタログ情報は見当たりません。
キヤノンはみごとで、new FDだけでなくFDやFLマウント、Rマウント、Sマウントまであります。
このようにメーカーカタログがあっても、英語表記が必要です(例えば「マクロ」とカタカナになっていては入力できない)。私がみつけたメーカー正式の生産終了品の英語版カタログをリストします。
- Canon Camera Museum | Camera Hall - Film Cameras
- Nikon | Imaging Products | Product Archive
- Interchangeable Lenses (for 35mm SLR Cameras) (Discontinued Models) : Film Cameras | PENTAX RICOH IMAGING
- オリンパスOMレンズ
- OMシリーズ用ZUIKOレンズ紹介(ページの下のほうへスクロール)
- The Zuiko Interchangeable Lens Group (PDF)
- TAMRON | Tamron Discontinued Products List
メーカー名は、大文字始まりの小文字というのが大抵の場合正式(全部大文字というのはロゴ的な時だけで、文章中では大文字始まりの小文字が普通)ですし、そのほうが全体の納まりはいいように思います。
変更を画像ファイルへ反映させる
…さて、入力するデータがきまったら、各タグの値の欄を直接ダブルクリックして入力が可能な状態にして入力するか、各欄右端のえんぴつマークをクリックして"Edit Field"ダイアログを出してそこに入力し、右下の"Set"ボタンを押します。
この段階ではまだ画像ファイルのEXIFデータに反映されていません。ExifChangerに変更の指示が登録された状態です。
このようにして変更したいタグの変更内容を登録していきます。変更されるタグは左端のチェックボックスにチェックマークが付きます。付いていない場合は手動でチェックしてください。
入力が全部終わったら、下の方にある"Apply…"ボタンを押します。すると"Review Changes"ダイアログが出て変更の指示内容を確認してきます。右下の"Apply"ボタンを押すと、EXIFの変更が反映されます。少し時間がかかります。
処理結果の色々な情報が"Review Changes"ダイアログに出てきて変更終了です。"Close"ボタンを押してダイアログを閉じます。
メイン画面の上にある"Quick Apply"ボタンを押すと、"Review Changes"ダイアログでの確認が行われずに即座に変更の反映が行われて、"Review Changes"が開いて処理結果が表示されます。
"Close"ボタンを押してダイアログを閉じます。
ExifCahngerは自動的に変更前のファイルを保存します。これはファイルの拡張子の後ろに_originalという文字がついたファイルとなります。
Apertureで"Update from Original"をやってEXIFが期待通りに変更/記入されていることを確認したら、ExifChangerの画面の下にある"Delete Backups…"ボタンを押して、_originalファイルを削除したほうがよいでしょう。 RAWファイルのバックアップが出来ている場合相当サイズを消費してしまいます。
"Delete Backup…"は今見ているフォルダーの中の_originalファイルしか削除しません。削除する際は必ず_originalファイルを削除したいフォルダーへ移動してください。
基本的な使い方はこれでおしまいです。
プリセット機能の使い方
毎回レンズ名などを手で入れているのは大変なので、便利なプリセット機能を使います。これは変更したいタグとその値一式を登録しておけるものです。メイン画面の下端にある"Presets"プルダウンメニューを開いたら、自分で登録したプリセット名のリストがでてきます。 そこから一つを選ぶと一気に値の入力をしてくれます。あとは"Apply…"ボタンを押すだけです。
プリセットを登録するには、まず変更したいタグに変更を加えます。プリセットは変更したタグ(チェックマークが入っているタグ)だけを覚えます。
変更データを入れ終わったら(画像ファイルに対して"Apply…"する必要はありません)"Presets"プルダウンメニューから"New…"を選ぶと、プリセットに付ける名前を聞いてきますので適当な名前をつけてください。メーカー名+レンズ製品名というのが無難でしょう。
これでプリセットが登録されます。"Presets"メニューを開けば、今付けた名前がリストされているはずです。
プリセットの内容を変更したい場合は、メイン画面で新しくプリセットする内容にタグを変更します。こうしてから"Presets"メニューから"Update"を選ぶと、プリセットのリストが出てくるので、変更したいプリセット名を選ぶとプリセットの内容が上書きされます。
上書きされる形なのでチェックマークがついていないタグはプリセットから外されてしまいます。チェックマークのついているタグの内容だけを入れ替えるわけではありませんので注意してください。
簡単確実にプリセットの内容を変更するには、まず最初にプリセットを呼び出してメイン画面のタグを変更させ("Apply…"や"Quick Apply"を押さなければ画像ファイルには反映されません)それに対して変更したいところをいじるとよいでしょう。
References:
- ExifChanger Help
- ExifTool by Phil Harvey
- EXIF 2.3 (PDF)
- IPTC - NAA Information Interchange Model version No. 4 Rev. 1 July 1999 (PDF)
- IPTC Photo Metadata Standard specification, IPTC Core 1.1 and IPTC Extension 1.1. (July 2010) - Doc Rev 1 (PDF)
Aperture・iPhotoで管理している写真のEXIFを編集(追加、変更、削除)する「ExifChanger」が凄い
返信削除でさらに分かり易く解説されていました。