2013年3月10日日曜日

DxO Optics ProとApertureの使い方 ― Catapult ―

DxO Optics Pro 8

Catapult

偶然目にとまった画像ソフトDxO Optics Pro(バージョン 8)。パープルフリンジをきれいにとってくれるよ、と言うことで注意を惹きました。 以前の「東京国立博物館東洋館」の写真でみごとにパープルフリンジが出ている写真が一枚あります。(一番最後の休息コーナーを撮った一枚)。 これはレンズにパナソニックのLUMIX G 20mm/F1.7、ボディーにオリンパスのOM-D E-M5の組み合わせです。 オリンパスのボディーは色収差のデジタル補正をしない仕様と言われていますが、そのせいというわけではないでしょう。強いコントラストのところではもともとパープルフリンジが発生しやすいそうなので。

Apertureの色収差補正を使っても補正しきれないほどの量があって取れませんでした。そもそもパープルフリンジはこの場合の色収差補正とはちょっと違うだろうと思いますし。 なのでまあしょうがないかなぁ、と思っていたのですが、つい先日2chで「DxO Optics Proのパープルフリンジ除去能力がすごい」という一言をみました。 ホームページへ行ってみると30日のトライアルができるということなので早速試してみたところ、ワンタッチ(収差補正のところにパープルフリンジ補正があるが、デフォールトではオフになっている)でほとんど消えたので驚きました。

さて、ところがここで一つ問題が。それはDxO Optics Proは独立した画像処理ソフトなので、Apertureと連携しないということです。Apertureの「外部エディター」に指定してもうまくいきません。 パープルフリンジの発生はそんなにあるわけでもないので(今のところ私はこの一枚しか記憶に無い)、ApertureからTIFFでexportして、DxO Optics Proで処理し、またApertureにimportしてから元の画像にstackさせるしかないか…。 となるとなんだか面倒だなあ、Apertureのplug-inでこういう強力なパープルフリンジ除去はないのかな…とか、何かうまくやる方法があるのかな?とか思ってネットを検索していると…

Catapult

ありました。なんとApertureとDxO Optics Proを繋いで、DxO Optics Proをplug-inのように駆動するAperture用のplug-inのCatapultです。

このblogに簡単にかかれていますが:

特にここに引用されている「Vimeo にアップロードされている動画」がポイント。英語なので何言っているかわからないですが、画面を見ているだけでわかることがあり、ちょっと使い方がわかりづらいこのアプリのそのわかりづらいところがいくつかわかります。

DxO Optics Proの"Process"で画像処理結果をJPEGやTIFFに出す画面では出力先は"Catapult Scratch"フォルダーの中の"Pickup Folder"を指定しておくこと(ヘルプを読んでCatapultの機能と設定をよく理解していれば別)。

CatapultとCatapult Liteの違いはLiteではDxO Optics Proで編集したファイルを一回の操作で一つしかApertureへ戻せない(importさせられない)ことだけ。フル版では一度に複数のファイルを指定出来て一気にApertureへ戻せる。これを「バッチ(batch)処理」と呼んでいる。

Catapultフル版はDxO Optics Proで複数のファイルを編集し終わってから一気にこれをApertureに戻せる。単にファイル指定が複数出来るか出来ないかの違いです。DxO Optics Proでどんな処理をするか(ワークフロー)によってバッチが便利かどうか変わります。Lite版からフル版へアップグレードもできます。トライアル期間もあります。

私の場合パープルフリンジなんてめったに出会わないだろうということとその他の処理でもあまりやらない(Aperture上でも基本JPEG取っ手だし/撮って出しなので)ので、バッチでApertureへ戻せないと不便なほどたくさんのファイルをDxO Optics Proでいじることはないだろう。ということで安いLite版を購入しました。

ちょっとしたバグもあり

Catapultの利点はさておき(私が欠点を言う時は褒めている時。欠点の方が多かったらそもそも取り上げないので)、問題点もいくつかあり:

  • Helpが出ない:
    これはあとからじわじわ効いてきて、実はヘルプを読んでいたらわかるような疑問やトラブルがあった。 ヘルプはinstall後最初の起動の時に自動的に開くようになっているので先頭のページに書いてあることは目に入る可能性が高く、 ヘルプが表示されていれば読んでいて回避できたトラブルがありました。 ヘルプはplug-inのpackageの中にある
    ( ~/Library/Application Support/Aperture/Plug-Ins/Catapult.ApertureEdit/Contents/Resources/Catapult Help )
    HTMLファイルですが単純にSafariで開いても、またHelp Viewer
    ( /System/Library/CoreServices/HelpViewer.app )
    で開いても階層構造がうまく伝わらないので結局1ページ(1ファイル)ごとに手で開いて読むことに。
  • 最初の数回、起動に10分くらいかかる:
    これがヘルプを読まないとわからないこと。実際にはヘルプにはそれは「Aperture 3.1で直った」とありますが、それと矛盾する感じもありますし、取り敢えずそこまでヘルプをよく読まないので結果的に役に立つというか、結果オーライなのですが。
  • 作業領域としてDesktopにCatapult Scratchというフォルダーが作られない:
    ヘルプでは初めて起動した時にDesktopにCatapult Scratchという作業用フォルダーが作られると書かれている。上記ビデオでもそうなっていることが見える。
    がDesktopにこういう作業用フォルダーが転がっていてもありがたくないので、手動で~/Documentに作った(そこを設定で指定しなおす)。
    ヘルプではCatapult Scratchフォルダーの中に、"Drop Folder"、"Pickup Folder"、"Settings"の3つが作られることになっているので、これも手で作っておく。
    こうしておくとヘルプが想定している環境と同じになる。設定の内容をよく理解出来ていれば、必ずしもScratchフォルダーに3つのフォルダーを作らなくてもよいことがわかるが、逆にいってこの3つを作って何か問題があるわけでもないのでとりあえず標準状態に合わせておけばいい。
  • stackが分断される:
    Apertureのstackの中にある写真に対してDxO Optics Proの編集後CatapultでApertureに戻す(importすると呼んでいる)と、stackが分断されてオリジナル+DxO Optics Pro編集後の二枚のstackと、以前stackされていたそれ以外の写真のstackの二つに分かれてしまう。
    手動でこれら二つを一つにstackにつなげなおせば一応問題は解決する(⌘+K)
  • DxO Optics Proに編集させた写真にバッジを付けてくれない:
    多分バッジ付けはCatapultの担当だろうと思うのです(DxO Optics ProはApertureから呼ばれたとは全く知らないわけなので)が、大抵のplug-inは編集をすると、そのファイルに「◎」のバッジを貼ります。 stackの中のサムネイル画面を見ていてどれが編集した写真でどれがオリジナルか(「◎」のバッジが付いてない)すぐわかるのですが。 現状では一々ファイル名を見て区別するしかありません(DxO Optics Proが_DxOをファイル名に付けてくるから)。

これらはコメントとしてfeedbackしてみましたが、さてどうなるか。

DxO Optics Pro

DxO Optics Proは、パープルフリンジの性能だけで買うには少々高いとおもいます。私が感心したのはもうひとつノイズ除去の性能でした。Apertureオリジナルのノイズ除去は全然効かないので無いも同然の機能でした。

ノイズ除去はそれだけの機能でAperture用のplug-inの形のソフトがいくつか出ています。

今までずっと何かノイズ除去のソフトは欲しいなと思っていたのですが中々一気にまとめて比較する気力もなく、かといって全部買っておくほど安くもないため買わないままになっていました。そこでDxO Optics Proを含めて、ノイズ除去plug-inの簡単な比較をしてみました。

NoiseNinja

以前NoiseNinjaを試した時には、効きすぎて、人工物(家電とか)のような平面のものではいいのですが、 自然とか壁(壁紙や漆喰仕上げだと細かく凸凹している)ではいわゆるデテールというやつがなくなってしまうのが「ちょっと嘘つきすぎ」と思って敬遠していました。 NoiseNinjaはバージョンアップされてノイズ除去だけのplug-inから画像処理アプリに変わってしまい、今ではApetureのplug-inとして使うには不便になり、値段も高くなってしまいました。

Dfine

Dfineは以前NoiseNinja(plug-in時代)と比べた時はあまり差がなく、指定が単純な分NoiseNinjaの方がいいや、と思いました。今回最新版を試そうとしたのですが以前installしたことでトライアル期間が過ぎてしまっていて試せませんでした。領域を指定してノイズ除去の強弱を変えられるようなので、これは背景の平板な壁と、手前の被写体とでノイズ除去=デテールの残し方を変えるという使い方が出来て強力そうなのですが…。

Noiseware

ある入門書で第一に推薦されていたのがNoisewareでした(ちなみに、DfineとNoiseNinjaが次点)。 これもトライアル期間があるのでDxO Optics Proとくらべてみました。やはり人工物に対して(平面があって、角がはっきりついているもの。白い紙に字が書いてあるなどエッジがはっきりしているもの)は自然できれいに取れるのですが、奈良の鹿の毛や林の陰にある倒木や下草はDxO Pro Opticsの方がデテールが残って少し自然な感じでした。

DxO Optics Proのノイズ除去がほどよいバランス

DxO Optics Proはノイズは少し残るがデテールをなるべく壊さないという感じに思いました。奈良を撮ることを中心に考えたのでノイズ除去もDxO Optics Proがいいだろう。ノイズ除去、パープルフリンジ除去の二点(+Catapult)でDxO Optics Proを買うことにしました。

DxO Optics Proも「スタンダード版」と「エリート版」というのがいきなり出てきますが、違いはサポートされているカメラの数だけで、大抵のカメラはスタンダード版でカバーされているので、自分のカメラが載っていればスタンダード版で足ります。DxO Optics Proもトライアル期間があるのは前述のとおり。

パープルフリンジ除去結果

Apeture + Catapult + DxO Optics Proで早速パープルフリンジの除去をしてみました。元の写真の左上にある窓の枠が激しく紫色に縁取られているのが、処理後はほとんど目立たなくなっていると思います:

P1270789 - Version 2

パープルフリンジあり(無処理)

P1270789_DxO

除去処理後

あと後者ではDxO Optics Proでノイズ除去もしています。天井のクリーム色のアーチとか模様が描かれている壁、床のタイルにノイズが乗っています。アーチと壁は漆喰のザラザラがあるので強力にノイズ除去するときれいになる代わりにツルツルになります。それだけをみればきれいなので、他人からの仕上りの評価だけを考えればDfineなどで強力にノイズ除去したほうがウケがいいかもしれません。しかし、実物と比べてどうかといえば今回のDxO Optics Proでの処理の方が感じを残しています。

0 件のコメント:

コメントを投稿