- モデル: しろっぷ(@syrup_1209)
3月7日(土)にニッシンジャパンのワークショップ「初級ストロボ講座 『オンカメラライティングの基礎 TTL編』」(Internet Archive)を受講しました。講師は下田雅博先生。豪華なことにアシスタントに えはらあい 先生が付きました。 参加者は8人。
下田雅博先生ですがニッシンジャパンのセミナーだけでなく、平日ニッシンジャパン(に併設のショップ)に行くとストロボを売っていたりするのでニッシンジャパンの社員なのかな?とも思うのですが私は詳細不明です。
今回は同日に4つのセミナーが行われていました。午前と午後にわかれ、さらにスタジオ側と会議室側で同時に行って、TTLとマニュアル、オンカメラとオフカメラの講習が行われました。 「オフカメラでTTL」は発売前の新製品Di700A + コマンダーAir1が使われていまして、製品発売前に実機を実際に試せる場になっていました。
私の講座ではニッシンデジタル i40が貸し出されました。ペンタックスのユーザーも参加していて、ペンタックス純正フラッシュ(だろう)を使っていました。i40は自分のものを持ってきてもOK。私は自分のものを持って行きました。
今回自分に余裕がなくて調光補正をしていません。すべての写真で調光補正は±0 EV、露出補正も±0 EVです。 最後の二枚の写真だけ後からソフトウエアで明るさをいじってあります。それ以外は撮って出し。もっぱらフラッシュの使い方による効果の違いをみていて、モデルの しろっぷ さんが全然きれいに撮れていません。すいません。
- 露出モードはPモード
- ISO 200
- オートホワイトバランス
- フラッシュはTTLモード、オンカメラ(講座の前提)
- AFは「顔・瞳優先On(😀i)」
- フラッシュの「低速制限」は1/60 s(メーカー初期値)
です。フラッシュの「低速制限」は1/60 sにしてあります。従って、シャッタースピードは1/60 sまでしか下がりません。
オリンパス機では「低速制限」が、フラッシュ無しの時の自動露出でのシャッタースピードの下限(それでも暗い場合ISOを上げてくる。手ぶれ防止の1/2x焦点距離制限も判断に入れているようだ)にもなっているという隠れ機能になっています。 しかしここがあまり低速ですと、定常光(自然光、環境光)での露出が十分に明るいために写ってしまい、フラッシュ撮影+低速シャッターの多重露光のようになり手ぶれ(あるいは被写体ブレ)が写ってしまいます。初期値である1/60 sかそれ以上にしておくのが無難でした。
座学
最初の1時間は座学。
まず、フラッシュ撮影時のカメラの設定、注意点について。一眼レフ、ミラーレス、あるいは両方に当てはまる話に分かれていました。
例えば:
- キヤノンの場合オートにしていると自動的に内蔵フラッシュがポップアップして発光する為、フラッシュ・オフにしている人が多い。この状態だと外部フラッシュを付けても光らない。フラッシュが光らないと悩む人がいるので注意
- レンズフードは付けましょう。フラッシュ撮影でも室内の反射があるのでゴーストを防ぐため
- ミラーレス機のファインダーの露出プレビューはオフで。
これはオリンパス機で「LVブースト」のこと(露出プレビューとはオンオフが逆)。
露出プレビューは定常光に対するものなのでフラッシュが発光した時適正露出なフラッシュ撮影ではファインダー画面が真っ暗になってしまう。
オリンパス機でのファインダー画像は「LVブースト」をオフにすると、真っ暗(定常光での露出と同じ明るさ)、オンにすれば自動的に見やすい明るさになります。
パナソニック機にこの設定はなく常時「LVブースト」オン相当です。パナソニック機の場合はFnキーに割り当てた「プレビュー」で実際の露出(=真っ暗)を見ることが出来ます。
資料では「TTLモードのフラッシュが検出されると自動的に露出プレビューがオフになる機種がある」とありますが、ソニーでしょうか?オリンパスは試してみると自動的にオンオフすることはないようです
続いてフラッシュ撮影の理論、特徴などを学びました。ここでの第一のポイントは
- フラッシュ撮影時はシャッター速度は関係ない
絞り、ISO感度、(被写体に当たる)フラッシュ光量の三要素 - 定常光(自然光)とストロボ光がミックスした条件で撮ることが大半
- 露出補正 →
- 自然光成分の明るさを調整
- 調光補正 →
- フラッシュ光の明るさ(強さ)を調整
この資料は先日のオリンパスデジタルカレッジの「星空撮影」の資料に続いて、大変参考になる資料でした。
天井バウンス
最初に、単純に撮るとどうなるかというデモと体験。直焚きのこと。
縦位置だとフラッシュがカメラの横になるため、影が横に出るのも特徴。カメラとフラッシュの大きさは小さいから横にしたからといって影が横に出るなんていう顕著な違いが出るはずない、と思ったらそうでもなく結構はっきり横方向に影がでました。
背景の影はいっそ壁にぴったり付いてしまうと目立たなく出来る、と言うデモもありました。
そして、直焚きの後に天井バウンス(天バン)。天井全体で面光源になるので、背景に強い影がでなくなります。人間は太陽の光で進化してきているので上から光が当たって、下側に影が出来るという構図が一番自然に感じるからという性質もあります。
天井とカメラ、モデル、光の反射の位置関係を意識します。離れていたらフラッシュを少し前傾させるほうが光の周り具合がよくなります。近い場合カメラや撮影者によって画面の下のほうにケラレが出る場合がありますがその場合はフラッシュを軽く後傾させると光がうまく回ります。
天井バウンスでの露出なのですが、少し暗い感じもします。TTLなのだから天井バウンスやディフューザーを付けて光量が落ちても暗くならないはずだと思うのですが、どうも暗くなります。これらの写真も冒頭に述べたように調光補正、露出補正とも±0 EVのままです。
今までもブツ撮りとかしていて、TTLに於いて、直焚き以外だと1〜2 EV暗くなる感じがしていました。オリンパス機の癖でしょうか?
また露出が少しあばれる感じですが、AFの「顔・瞳優先On」をうまく使いこなせていなかった可能性もあります。本来シャッターボタン半押しで、顔や瞳検出がされたところでグリーンの枠がブリンクするはずですが、実は顔モードを使ったのは初めてで、これを理解していませんでした。 意外と検出に時間がかかるようなのか、せっかちにシャッターボタンを押していたので瞳検出が出来ていなかった可能性があります。
一連の「顔優先On」モードでは顔を検出するとそこを優先に測光する(ESP測光モードの場合)となっています。顔検出の白枠はちゃんと出ていたと記憶していますので顔を優先に測光していたはずです。
キャッチライトパネル
天井バウンスしながら、付属のキャッチライトパネルを出して撮影。
小さな白い板で何が変わるんだろうと思うと、背後に影が出るほどに前方へ光を反射。 瞳をみるとキャッチライトが入っているのがわかります(前章の「天井バウンス」と比較)。
瞳の上の方にあるキャッチライトは会議室の照明か、ちょうどこの場所の上辺りにあるエアコンの吹き出し口の白いパネルの反射と思われます(先生のデモでも同様でした)。
i40の内蔵キャッチライトパネルは、出る位置が固定のため、縦位置では機能しません。マスコミの取材ではよく名刺を輪ゴムでフラッシュに付けてキャッチライトパネルの替わりにしているそうですが、これは縦位置になった場合も名刺の位置を変えて対応できるからだそうです。
背景の明るさバランス
モデルさんは、フラッシュのTTLモードによって適正露出になっていますが、背景はその時の定常光で露出が決まります。背景の明るさを変えるのにISOを大きくいじると効果があるという作例です。
これは…フラッシュ光が届かない背景で、低速制限1/60 sに引っかかってシャッタースピードが1/60 sに張り付いて落ちず、絞りも開放F2.8になっているためアンダーになっているということでしょうか(低速制限を1/8 sに下げるとそこまで下がります)。 そこでISO 200固定を1600へ上げることで露出が明るくなり背景の白い壁が明るくなったと言うことではないか、と思います。
壁バウンス
天井にバウンスさせるのではなく、壁にバウンスさせます。天井バウンス同様、カメラ、壁、モデルと光の反射の角度の関係を意識します。
顔に陰影がついて立体的になります。
光が真横すぎる場合、フラッシュを斜め上に向けて、壁バウンスと天井バウンスを混ぜる形にして光の角度をアレンジします。
Rogue フラッシュベンダー ソフトボックスM
イベント会場や屋外など天井バウンスが効かない場合を想定して、Rogue社のフラッシュベンダーのソフトボックスMを体験してみました。
フラッシュベンダーは一種の巨大なキャッチライトパネルです。金属の骨が入っているので前に曲げ、前方への反射量を増やせます。骨がある分見た目より重たいのがやや欠点。今回は天井バウンスが出来ない想定で、オプションのソフトボックスキットを使ってソフトボックス化。
光の柔らかさは発光面積で決まるそうでフラッシュベンダー全面が発光面になったソフトボックスは、直焚きより(i40の発光部の面積に比べ10倍以上)ずっとソフトになるという体験。
Mサイズは見た目はそんなに大きくありませんがかなり効果がありました。
難点は、i40が小さいために取り付けベルトの締め付けが弱く、本体が意外と重たいため、縦位置で使用する場合落ちやすいことです。通常の(大型の)フラッシュの場合は取り付けの問題はないでしょう。i40に対しては帯状の輪ゴムを巻きつけておくと摩擦が増えて脱落しづらくなるということでした。
同時に、i40付属のキャップ式のディフューザーも試しました。先生によると前述のように発光面積で光の質が決まるのでキャップ式はほぼ効果が無いということで、実際にデモも行われました。
箱型のディフューザーでは、前面の白い膜とフラッシュとの距離が近いと膜の明るさにムラがでるので発光面積が結果的に狭くなるのでなるべく距離が離れているものがいいと言われました(すりガラスにものを近づけるとその形がみえるが、離すとぼやけるように)。フラッシュベンダーは内部に乱反射させて前面を発光させているのでムラが少なく、比較的コンパクトだと。
最後に自由撮影
最後に、質問と歓談、自由に撮影。私は再びフラッシュベンダーソフトボックスMを借りて撮影。
前述のようにAFの「顔・瞳優先On」が正しく使えていなかった可能性はありますが、これは非常に便利でした。構図に合わせてAFターゲットを動かす必要がなく、カメラを構えて顔を入れれば自動的に顔や瞳にAFを合わせます。
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